パーキンソン病と心のケア

ごあいさつ

当サイトを訪れてくださり、誠にありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の新明一星です。私は、これまでパーキンソン病(以下、PD)の治療において第一人者である村田美穂先生のご指導、ご支援をいただきながら、パーキンソン病患者さんの精神症状(うつや不安)のカウンセリング(認知行動療法)の研究を行ってきました。2018年9月に悔しくも他界された村田先生のご遺志を絶やさぬよう、この領域の活動を続けていきたいと願っている次第です。医療者、当事者の皆様からのご意見をいただきながら、さらに効果的な心理療法の可能性を追求して参ります。また、外出が困難な方には、訪問でのカウンセリングも承っております。心の健康だけでなく、人生の重要なご決断の一助に、TCBTをご利用いただければ幸いです。研究業績はこちら

なぜPDにカウンセリングなの?

心とは脳内の活動です。パーキンソン病に関与するのはドパミンですが、不安、ストレスにはセロトニン、ノルアドレナリンなどが関係します。つまり、不安の感じ易さや人間関係に脳は反応し、自律神経を介してパーキンソン病の症状に影響をもたらします。病気の治療と同時に、穏やかな心を保ち、幸福な人生を選択することが大変重要です。

こんなことはありませんか?

  • 怪我をするのが怖くて身動きが取れない
  • また病気が進んだのではないかと思う
  • 何ひとつ自分でできないと感じる
  • 突然病気が悪化して何もできなりそう
  • 痛みがひどくて辛い
  • Wearing-offが辛すぎる
  • 何かに没頭しすぎてしまう
  • 薬を飲み過ぎてしまう

病気の特性により、心の状態も様々な影響を受けます。心といっても脳の中で起きていることですので、病気と密接な関係があります。運動症状の治療と同時に、心の状態を良好に保つことも大切なことです。

パーキンソン病とは?

 パーキンソン病(PD)とは、無動、固縮、振戦を主症状とする運動疾患です。体を動かすのに必要な脳内物質であるドパミンが減ることによって、身体を動かすことに支障をきたすと言われています。抗パーキンソン病薬には、L-dopa、ドパミンアゴニストというお薬が主に使われますが、基本的に薬の治療効果は高く、服用を継続している患者さんは、発症後の10年後でも8割程度の人が薬の効いている時間は動くことができると言われています。処方を開始して数年間は抗パーキンソン病薬の効きが良く、健常の人と変わらない生活を送る患者さんも少なくありません。

パーキンソン病と心の関係

 パーキンソン病(PD)は、運動症状を中心とする神経疾患ですが、うつや不安などを伴う疾患とも言われています。薬物療法(抗パーキンソン病薬)の治療効果は高い一方で、診断を受けることの衝撃や予後の不安などはなかなか拭いされるものではなく、葛藤しながら治療を継続される患者さんは多くいらっしゃることでしょう。カウンセリングでは、あなたの性格を理解しながら、症状があっても充実した時間を持てるようにし、症状にとらわれる時間が減らすことを目ざします。結果的に、結果的に症状を軽く感じたり、実際に軽くなる方もいらっしゃいます。

PDとうつ

 PDのうつには、疾患によるもの、または心理的反応(疾患に対する不安やストレスなど)によるものとがあります。どちらか一方が原因という訳ではなく、互いに関連しあって抑うつ症状が生じます。ベックは、自分、他者、未来に対して否定的な考えを抱くようになると、抑うつが生じると述べました。これをうつの三重奏(cognitive triad)と呼んでいます。うつは、罪責感、興味の喪失、悲哀感、食欲低下(増加もある)、集中力低下、制欲の減退などを主症状とします。PDにおいては、このような典型的な大うつ病エピソードの診断基準を満たすことは少なく(1%未満との報告がある)、罪責感や希死念慮は少なく、不安が顕著であると言われています。これらのことから、うつは本人、家族、そして医療者から見落とされやすいとの指摘もあります。うつはQOL(生活の質)に最も影響を与える一要因であるとも言われており、PDの進行を早めるとも言われています。いずれにしても、うつが遷延する前に、早めの対処を行った方が、患者さんの負担も少なくて済みます。 鬱に関する文献(村田美穂先生著)はこちら

PDと不安

うつを経験している患者さんの9割以上に不安症状が並存しているというデータや、社交不安(人前で上手く話せるか不安)、全般性不安症(いろいろなことが心配で仕方ない)が並存しやすいとの報告があります。Wearing-offの際に、パニック発作を経験したり、この不安が堪え難く抑うつ的になる患者さんもいます。進行性の疾患であることから、予後について不安になるのは当然のことですが、医師の目から見てそれほど重症度が高くないのに、転倒への心配が非常に強くなるケースや、ほんの少しの症状の変化を症状の進行と捉えて悲観的になるケースも見られます。生活に支障をきたす不安を不安症と呼ぶことがあります。不安症に関しては、こちらのページもご覧ください。

PDと幸福感

1990年代にポジティブ心理学と呼ばれる学派が誕生しました。マーティン・セリグマンという心理学者が、ネガティブな側面に焦点を当てがちな心理学を発展すべく、ポジティブ心理学が提唱されました。ドパミンは幸福感、モチベーションに関連することもあり、パーキンソン病の治療においても重要視しています。自己受容、人間関係、ライフワークの充実を図りやすくするために、心理学を知っていただくことが有用です。PD cafeで週一度、ポジティブ心理学講座を配信していますので、ご興味があればそちらもご覧ください。

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