摂食障害

摂食障害は大きく分けると、体重の制限を過度に行う神経性やせ症 (anorexia nervosa:AN) と、過食、および体重をコントロールするための嘔吐などを行う神経性過食症 (bulimia nervosa:BN)とがあります。神経性やせ症は、①著しい低体重、②体重増加や肥満に対する恐怖,ボディイメージの障害、③体重や体型が自己評価に過剰に影響することであるとされています。神経性過食症は、①過食、②体重増加を防ぐための不適切な代償行動、③体重や体型が自己評価に過剰に影響することが特徴です。治療法として、栄養療法、心理療法などが用いられることがあります。

原因は、人により様々ですが、痩せていることを称賛する文化的背景だけではなく、対人関係環境による心理社会的要因も大きく関与すると考えられています。一般的には、周囲の評価を意識することでの不安が関与しているとされています。私の経験では、必ずしも不安を感じているわけではなく、学習、運動、成果達成を目指す活動に従事することで、不安をあまり感じずに済んでいる方も少なくありません。摂食障害そのものは、通常でない食行動が健康を害する可能性があるため、手放していくことが前提になります。しかしながら、カウンセリングにおいては、摂食障害が持っている意味や役割を探求していくことが、回復への足掛かりになることが多いように思います。

摂食障害の背景には、様々なライフイベントが関与していることもあります。環境の変化喪失体験人間関係上のストレス虐待などが代表的な例です。対人関係のストレス、学業や仕事のプレッシャーは、心理療法の中で徐々にその過酷さが明らかにされていきますが、このような要因を聞いても、それがあたりまえだと思ってきたのでなんとも思わない方が少なくありません。特に、発症の背景にある葛藤として、多いのは家族関係であるという調査報告があります。

近年、摂食障害に対する認知行動療法が診療報酬の算定対象となりました。マニュアルがWebで閲覧可能ですが、食行動に関連する考えや行動パターンを認識し、少しずつ変容を試みていく手法になっています。体重、体型に関連する行動(食前、食後、鏡や体重計の確認、ボディイメージ、過食嘔吐で生活が乱れることで過食への渇望が増すなど)を学び、認識し、健康な行動パターンを取り入れていくことで、摂食障害の軽減を図ります。私個人の経験では、自分の考え、感情を認識し言葉にすることに難しさを感じている方が多いため、自分自身の考えや感覚を言葉にすることを学んでいくことが大切だと考えています。

摂食障害の背景には、ストレスとなる心理社会的な要因が大なり小なり存在するものです。その中でも、感情を表出したり、その表出に対する応答が少なかったり、過剰であることにより、感情表出が習慣になっていない方がいます。このような状態が長く続くと、無理をしても気付きにくく、気がついた時には、燃え尽きたり、抑うつ状態になってしまうことがあります。普段から耐えている感覚がなく、努力したり、没頭したりができるため、ネガティブな感情をより自覚しにくくなります。感情に気付きにくい状態を失感情症(アレキシサイミア)と言いますが、摂食障害にもこの状態にある方がいると考えられています。

TCBTでは、摂食障害に対してカウンセリングを多く行っていますが、話をする練習であったり、しっくりいく言葉を一緒に探していく作業であったり、その時々に感じている感覚に気づくことなどを、セッションの中で行えるよう意識をしています。

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