病気は治すべきか、受け入れるべきか

病気を呈することは楽なことではない。診断を受け行き先の見えない未来に恐れ慄く、自分の意図しない症状が体に発生する不気味さ、何とかして症状を取り去りたいと思い、原因や治療法を調べ尽くする日々、どれも、症状がもたらす苦悩であると言える。

病気を持つと、さまざまな価値観も変化する。今まで自分、他人、未来をコントロールできていた人は、病気によってこの価値観を覆されてしまう。もともと、コントロールする力が弱いと感じてきた人は、病気によってその考え方がより強まることになる。

私は、神経内科、耳鼻科でカウンセリングを多く行ってきたが、病気を治すべきか、受け入れるべきか、患者さんと一緒に葛藤してきた。受け入れることは治療をあきらめることのようにも思える。諦めてしまったら、なし崩し的に全てが悪くなるのではないかと思われる方が多かった。

一つ言えることは、治そうとすればするほどに、症状が悪化することがある。治そうとすることは、当たり前なのだが、ともすると、症状の除去が人生の第一目的になってしまい、その他のことが全くの手付かずになってしまうことがある。

思い悩めば悩むほど、症状のコントロールできない側面を見つけ、新たな症状を見つけ、コントロールできない自分を見出してしまう。端的に、これはかなりストレスフルである。あえて言いたいのは、このストレスは、ご本人自身が思うよりも、はるかに高ストレスということだ。

ストレスは、自律神経も免疫も狂わせる。これは、その人が思う以上に、心身に影響をもたらしているのだと私は言いたい。心理的な負担を減らすことは、ある意味間接療法であるが、症状と人生の苦悩は大いに関連している。苦悩が減れば、症状も軽く感じられる。症状を少しだけでも、軽くしてみようというスタンスが大切と考える昨今だ。

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