子供の強迫性障害

強迫性障害

子供の強迫性障害は決して珍しくはなく、10代に発症することが多いとされています。強迫性障害という診断を受ける人もいますが、病気であると気づかずに大人になる人もいます。子供の強迫性障害の症状は以下のような形で表れます。

● 授業や勉強に集中できない

● 疑い深くなる

● 苛立ち、心配、泣き出すことなどが増える

● 選んだり、決めることが難しくなる

● 着替え、整理整頓、宿題、入浴などに時間がかかるようになる

● 完璧にできない、自分のペースでできないことに癇癪を起こす

● 親に反抗しても、完璧に何かをやろうとする

発症の背景に、はっきりとしたストレスがある場合(学習、友人関係など)と、本人が自覚していないストレスがある場合とがあります。専門家の間では、脳内物質のバランスが乱れ、脳機能の問題(脳内での思考や行動の抑制が効かない:OCDループ)、トラウマ(いじめ、パワハラ、モラハラ、虐待など)、家族関係(例:何が正しいかを過度に心配しなくてはならない家族ルールがあり、強迫の素地を持っていた)などが関連すると考えられています。現在の医学、科学においては、はっきりとは解明されていないのが現実です。

悪化を避けるために、本人の言うことを全般的に受け入れて疲弊したり、逆に強迫行為をやめさせようとして関係が悪化することがあります。中には、育て方が悪かったと考えたり、子供との対立を避けるために、徹底的に要求を飲むことに徹する家族もいます。このような状態を「巻き込まれ」といいますが、一旦合わせてしまうと、家族にとっても、本人にとっても変更は難しくなります。基本的には、「不安を減らそうとすればするほどに不安が強くなる悪循環」が症状の中核だと理解する必要があります。このことを理解していただき、少しずつ不安を抱えられるように支えていくのがポイントです。

ただ、そのさじ加減が非常に難しく、喧嘩や言い合いが耐えない、または変化を強いると引きこもってしまうことがよくあります。思春期のお子さんの場合には、思春期の特性を理解することも重要です。主義主張をしながら、周囲と折り合いをつけるのが思春期です。特に、親御さん自身に反抗期の経験がない場合、支援が困難化することがとても多いです。どう対応すべきか迷っているうちに、症状が悪化してしまい、強迫行為が長引いてしまう、そして引きこもってしまうケースが少なくありません。

何を恐れているのか、何のために強迫行為をしているのかなど、言葉で説明できるようになることが治療のスタートになります。可能であれば、お子さんの視点を理解するために、症状についての会話ができるとベターです。難しい場合には支援者を交えて、またはご家族がカウンセリングを利用することをお勧めします。子供の場合、医療機関を受診するのであれば、児童精神科が選択肢になります。病院の選択は、お子さんと医療スタッフとの相性が鍵になるように思います。まずは関係性の構築(気兼ねなく話せる関係)に時間を割くことが重要です。改善を急ぐと、逆効果なこともあります。また、児童精神科は数が少なく、初診までの待ち時間が長くなることが通常です。

薬物療法で症状が改善しない場合、強迫行為を削減するための行動療法(曝露反応妨害法)が次の選択肢になることが多いのですが、環境調整や友人関係、進路の見直し、家族関係の改善などで、症状が軽減することもあります。学校の先生に症状を理解してもらうことが有用な場合もあります。強迫性障害は決して珍しい病気ではありませんが、本人、ご家族としては、どのように症状を説明すると理解を得られるのか(甘え、こだわりだと決めつけられる不安)を悩む方が多いように思います。症状の説明と治療的に必要な事柄を簡潔に伝えることで、先生方も安心してお子さんと関われるようになることも重要です。知識がないために、どうか変わって良いかがわからず、冷たい対応をされた、してしまったという誤解も生じるからです。

基本的には大人の対応と似ていますが、思春期の課題を配慮することが子供の強迫性障害との大きな違いと言えるでしょう。早期に対応した方が、l本人にも、家族にも、そして支援者の負担も少なくて済みます。強迫性障害は治療や支援にたどり着くのに時間がかかることでも知られていますので、ぜひ必要な情報をたくさん得ていただければと思います。

 

 

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