愛着障害と強迫性障害

強迫性障害

近年、うつ病、不安障害、発達障害と診断されて、通常の治療や対象法で改善しないケースが増えていると言われている。そのような中で、愛着障害という概念に目が向けられるようになってきている。愛着障害という言葉からは、その概要がわかりにくく、誤解されることも多い。私自信、愛着という観点から、強迫性障害を捉えると回復のヒントを得やすくなると感じることがあり、ここで私の見解を記しておこうと思う。

私なりの表現で愛着障害を説明すると、人と一緒にいる時に生じる感覚の障害である。人と一緒にいると違和感がある、人と一緒にいると自分の感覚がわからなくなるなど、独特な生きにくさを生じる。自分という感覚に違和感があり、情緒が安定しない、集中できない、関係が長続きしない、自分のキャパを度外視した努力などが特徴になる。子供に対しては診断基準があり、反応性愛着障害、脱抑制型対人交流障害と呼ばれている。

虐待、ネグレクトによっても生じるが、夫婦仲による家庭内の緊張感、両親が多忙であることによっても起こりうるように思う。なぜ、このようなことが起こり得るかというと、基本的に人は自分の感情を言葉と仕草に変えて表現し、それに対する応答(返事、表情など)によって、自分の意思を言葉にして説明し、他者の見解を聞く。そのような中で、感情は調節され、自己理解は深まっていく。逆にこのような機会を損なうと、自分の感情が言語化する習慣が得られず、情緒が安定しなくなったり、過度な努力に気づかなくなったりする。感情調整をする脳が発達しないという考え方もある。

強迫症とどのような関係があるかというと、強迫行為の元を辿ると、ルーチンや儀式的行動である点にある。これらは、感情を調整する機能がある。いつも通りやること、繰り返しやること、決まった行動をすることで大丈夫だと言い聞かせることができる。関係の中で解消されない感情や緊張感は、このような儀式的行動で対処される場合がある。これが嗜癖となり、長年に渡り耐えてきた感情が限界に達したり、強いストレスがかかることで、制御不能な行動として表出する。徐々にその行動は長時間化、複雑化し、日常生活に支障を来す。このように思わされるケースは少なからず存在する。

親が愛着障害を持っているケースも少なくない。先に述べたような特性から、子供との関わり方に強いストレスや不安を抱えたり、自分がそう生きているのと同じように他者にとても厳しい(厳しく生きるのが当然なので、多くの人がそうでないことを知らない方も多い)。夫婦関係も、情緒的な問題から不仲になりやすく、家庭内にも緊張が起こりやすい。その中で育ってきた子が、感情の処理のために着々と儀式的行動を確立させていき、ある時に強迫性障害となって表出化するのである。

強迫性障害の原因は未解明であり、さまざまな仮説が存在するのみである。脳機能(OCDループ)の障害とも考えられている。私自身は、さまざまな角度から、症状を検証していくことで、本人なりの解決の緒が見えてくることが多いと思っている。一つの理念に囚われると、治療が難しくなったり、症状が悪化してしまうことがある。私の考える愛着障害と強迫性障害の関連について書いてみたが、何かの参考になれば幸いである。

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