曝露療法が続かない理由

強迫性障害

曝露療法とは、強迫行為を停止、ないし中断をして、不安感を意図的に経験する治療である。強迫性障害は、頻回な儀式により、不安や曖昧さに耐える力が衰え、ほんの少しの不安でも儀式を繰り返し、儀式を繰り返している途中でも、不安が強まり停止できない状態である。私も多数の症例を曝露反応妨害法で治療してきたが、治療成果を出せないケースは少なからずあり、対策を試行錯誤してきた。

曝露療法を続けられない理由はいくつかある。まず一つは、罹病期間が長く、儀式の停止を全くイメージできない、停止した後に症状が悪化すると確信して、変化を引き起こせないケースである。強迫性障害は習慣化した嗜癖であるため、変えられる気がしないのは当然で、改善のイメージができないことは極めて自然だ。私は、どのような治療の経過をたどるかを具体的に説明し、改善した人のパターンをいくつか紹介するようにしている。誰もが希望を持てない段階から治療を開始していることを知ってもらうことも重要だ。

次に、強迫性障害を悪化させている理由が人間関係、環境にある場合だ。儀式的行動で家族を巻き込んでいる場合、家族の批判に晒されている当事者は多い。症状がゆえに関係が悪化している場合もあるが、もともと緊張のある関係が継続していることも少なくない。こうなると、疎外感や反抗心などで、不安が助長されてしまい、治療が困難になりやすい。また、儀式がしやすい環境や家族の手伝いなどが確立している場合、両者が変化の不安を感じることになるため、変化への障壁は大きくなる。

そして、感情のコントロールが非常にうまくないケースである。幼少期の頃から、自分の話をすることに慣れておらず、過剰に努力しやすい反面、ストレスを抱え込みやすい人は、曝露療法の負担に耐えられないことが多いのだ。「そんな些細なこと」と思うかもしれないが、この差は非常に大きい。そう言った意味でも、話をすることに慣れてもらうこと、症状について話し、自己分析するスキルを高めてもらうことが、極めて需要だ。これが身につくと、治療は円滑化する。「そんな些細なこと」と思う方ほど、簡単にはできず、練習が必要だと思って欲しい。

他にもいろいろと曝露療法が続けられない要因はあるが、私の臨床経験から思うところを書いてみた。何かの参考になれば幸いである。

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