こんなことはありませんか?
強迫症や不安症を持つ子供に対して、家族が確認や付き添い、回避などの手助けをせざるを得ないことが少なくありません。そうしないと、子供が学校に行かなくなったり、強迫行為が増えたり、暴言や暴力を振るうことがあるからです。風邪や疲労などの場合には、子供の代わりに何かをしてあげたり、特別な配慮をしたりするのは自然なことです。しかし、強迫症や不安症では、子供の不安を軽減しようとするほど症状が悪化してしまいます。親が手を貸せば貸すほど、子供の要求が増え、症状が悪化することが非常に多いのです。このような状態を、巻き込まれと言います。強迫症において、よくある巻き込まれは以下のようなものです。
- 除菌、入浴の要求に応じる(本人が訴える前に行う)
- 本人が必要とするものをあらかじめ用意する
- 苦手な言葉や数字を言わない(使わない)
- 洗浄や確認への立ち会い
- 心配事や症状についての話を長時間聞く
- 儀式、強迫行為の邪魔をしない
- 外出に同行する
- 自宅に人を招かない
- 繰り返しの質問に応じる
SPACE
SPACEとは、Supportive Parenting for Anxious Childhood Emotionsの略で、不安症や強迫症の問題を抱えるお子様の回復のために、親が取り組む治療プログラムです。SPACEは、イエール大学チャイルドリサーチセンターのエリ・レボウィッツ博士によって開発され、科学的に有効性が確認されています。
対象となる方
SPACEは、不安症や強迫症(強迫性障害)のお子様(小学生から大学生)の治療を目的としています。親の関わりにより、強迫症、不安症を治療するプログラムであるため、お子様がSPACEのセッションに参加する必要はありません。しかしながら、あくまで目的はお子様の不安症、強迫症の治療です。SPACEプログラムにより、お子様の不安が減り、生活機能が向上します。
SPACEで治療が可能なこと
不安が強くなり、生活に支障を来しているお子様の家族が対象です。具体的には、分離不安、社交不安、全般性不安、恐怖症、パニック症(障害)と広場恐怖、選択性緘黙症、強迫症(強迫性障害)などに対応できます。お子様の不安が強くなると、家族の不安やストレスも強くなっていきます。お互いの不安やストレスが連鎖し、結果的に上記のような不安がエスカレートしていくのを食い止めることが治療になり得ます。
SPACEの内容
実際にスペースで行う内容は、①SPACE を始めるための準備、②目標とする問題の選択と子への説明の準備、③巻き込まれを把握する、④対応の計画を立てる、⑤巻き込まれを減らす、⑥目標を発展させていく、⑦さらなる目標を設定する、⑧まとめになります。特にご家族が対応に苦慮される、①深刻な破壊的行動への対処、②自傷や自殺への対処法、③支援者との連携家族間の連携についても検討し、お子様の不安の軽減を目指します。50分の家族カウンセリングを12回お受けいただくプログラムになります。対面、オンライン(zoom、skypeなど)で実施可能です。
臨床心理士からのコメント
お子様が強迫症や不安症などの強い不安を訴える時、多くのご家族は戸惑いながらも、不安を鎮めようとさまざまな手を尽くしていることと思います。しかし、どれだけ手を尽くしても不安が収まらなかったり、逆に悪化したりすると、ご家族は途方に暮れてしまうことが多いです。
ご家族が長い間このような状態に耐えたり、お子様が治療や支援を拒んだりするために、打つ手がなく過ごしているケースも少なくありません。SPACEプログラムでは、不安がどのように強まり、家族関係が不安の悪化にどのように関係しているかを学び、回復に至ったご家族の取り組みを取り入れることができます。
ご興味をお持ちの際には、どうぞお気軽にお問い合わせください。また、X(旧Twitter)で「強迫症ペアレンティングサポート」というアカウントで情報発信も行っていますので、ぜひそちらもご覧ください。