縁起強迫の治し方

強迫性障害

縁起強迫とは、不吉な数字、言葉などを見聞きしたり、思い浮かぶことを恐る強迫症だ。多くの場合、不吉さとは、死や不幸を連想させるもので、感覚的に何かをせずにはいられない。自分に不幸が及ぶと考える人もいれば、家族(配偶者、子供)が不慮の事故に遭ったり、病気にかかると考える人もいる。霊や過去に見たホラー映画のイメージ、宗教上の神などが、対象になっていることもある。不吉さを感じると、感覚的に不安、恐怖が沸き起こることもあり、不幸を無効にするために、祈り、特定の言葉を言う、特定の動作をする、良い想像をする、大丈夫と自分に言い聞かせるなどが、強迫行為となる。これらが増えていくと、儀式をすることも辛いし、儀式をする可能性すらも、恐れるようになっていく。生活は、不幸を退けることが中心となっていくので、大変不便になっていくことになる。

強迫性障害の治療選択肢として、認知行動療法があるが、縁起強迫は少しコツがいる。なぜかというと、頭の中で考えていることで、考えを止めることはとても難しく、考えていることに気づくことも意外に難しいのだ。気がつけば、強迫のループに嵌りこんでいて、強迫観念に囚われているからだ。なので、自動的に沸き起こる思考に気づくように、心掛けて欲しい。「今、強迫観念が思い浮かんだぞ」、「何を恐れているのかよくわからない、とにかく怖い」という具合に、まずは言語化を心がけてみよう。それができるようになったら、具体的に何を恐れているのかをはっきりさせていく。自分の死、家族の病、不慮の事故など、言葉にするのは怖いはずだが、少しずつ練習しよう。

ここまで進むのに苦労する人もいるかもしれないが、この苦労は後の治療を加速してくれる。恐れていることがわかったら、あえて、恐れていることを言葉に出してみたり、書き出してみたりする。そうすると、すぐに強迫行為をしたくなるはずだ。これを、逆に、不安を高めるということをしていく。つまり、死んでしまうんだ、呪われてしまうんだ、と考えてみるのだ。そんなことをしたら、本当に現実になってしまうと思うかもしれないが、治療を経験した人の多くは、呪いや死を心から覚悟した時から、逆に自由になっていくことに気づいている。ずっと、このような我慢の連続をしなくてはいけいのかと思う人もいるだろうが、実際には、回復していくと、強迫観念以外のことを考えるようになっていく(例えば、仕事、趣味、役割など)。だんだんと、不吉さが頭を過ぎること自体が少なくなっていくので、我慢という状態は減っていくことになる。

不安に耐える力を高めると、徐々に覚悟が決まりやすくなったり、割り切りができるようになる。強迫観念を手放していくと、それを避けるために使っていた時間と体力の大きさにも気づくと思う。それらを、自分の幸せとやりたいことのために使えるようになったら、縁起強迫から開放されたと言っていただけるだろう。

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