自他境界線(罪悪感なくNoを言える、傷つかずNoを受け取れる)

自他境界線

自他境界線とは、文字通り人と他人とを隔てる境界線なのだが、自他境界線が曖昧になることで様々な問題が起こる。

大きく分けて2つの反抗期が成長過程にあると言われているが、この反抗期は自分と親との分離を達成させるために必要な時期になる。親にとっても、微笑むばかりの我が子がイヤイヤ期に入ると、なかなかに苦労する期間になる。思春期は、より成長し、行動力も力も持っているので、より激しいものになりやすい。

反抗期とは、自己主張と妥協を学ぶ期間である。若い時期に、親子間で自己主張と妥協を学べた人は幸いなことだ。最近は、反抗期がなく、思春期を経過する方が増えている印象がある。それには様々な理由がある。反抗期に親が耐えられず、過度な叱責や先回りで、自己主張を阻んでしまうことがある。

心理学用語で投影同一視という言葉がある。過去に満たされなかったり、傷ついた思いがあると、自分が感じているように他人も感じていると考えることを指す。「自分が傷ついてきたから、配偶者に反論することができない」、「かなわなかった夢を子に託す」、「自分が受け入れられないのだから社会も拒絶するだろう」など、自分の思いが他人に投影されると、他人と自分の境目が曖昧になっていく。

人には自分の本当の姿を知りたいという欲求がある。親としても、子供にしても、自分は大丈夫なのか、どの程度やれているのかなど、自分の状態を知りたいと思うものだ。それが過度になると、他人の反応に敏感になりすぎてしまい、自分が見えなくなっていく。親の期待や思惑はわかるけれど、自分の欲するものがわからないのであれば、自分を見失っていると言えるかもしれない。

子にとっても、親にとっても、自他境界線を知り、学ぶことは、大きな成長のチャンスだ。思春期や成人期の人間関係の背景には、この自他境界腺問題が潜んでいる。自他境界線の質を確かめるには、いかに快適にNoを言い、Noを受け取れているかを自問してみると良い。今ある違和感や説明のつかない感情に答えが見えてくるかもしれない。

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