侵入的思考が爆増する理由

強迫症(強迫性障害)

はじめに侵入的思考とは?

侵入的思考は、自分が意識していないのに頭に浮かぶ考えです。通常、侵入的思考は不快で、考えたくない言葉、イメージ、記憶などです。この思考に効果的でない対処をすると、逆に考える頻度が増すことがあります。そのため、侵入的思考の仕組みを理解し、正しい対処法を身につけることが重要です。

よくある侵入的思考とは、以下のようなものです。

  • 考えたくないのに浮かんでしまう思考やイメージ:「失敗するのではないか」、「悪いことが起こるのではないか」など。
  • 過去の辛い経験やトラウマを繰り返し思い出して苦しくなる:同じ目に遭うのではないか、加害者に対する恐怖、嫌悪感など。
  • 現実的にはあり得ない、不快な考えやイメージ
    スピリチュアルに関連すること(神様や霊を怒らせてしまう、自分や家族に不幸が起こる)や、気持ち悪いイメージや言葉など。

これらの思考を無理に打ち消そうとすると、その思考に逆に囚われ、日常生活が難しくなることがあります。


侵入的思考が起こる原因

侵入的思考が起こる主な原因として、以下のようなことが挙げられます。

  1. 不安やストレス
    不安やストレスを感じると、思考を抑制する力が下がることがあります。侵入的思考を避ける試みは脳を疲れさせるため、避ければ避けるほどその発生頻度を高めるという悪循環が生じます。
  2. 過去のトラウマ
    過去の辛い経験がフラッシュバックし、脳が同じ体験を避けようと警戒心を高めます。その結果、侵入的思考が繰り返されることがあります。
  3. その他の要因
    特に意味もなく、侵入的思考が湧き起こることがあります。脳は膨大な情報を処理しているため、無意識的に過去の記憶や意味のない言葉が思い浮かぶことがあります。ストレスが強くなっていると、この思考を流すことが難しくなります。

誤った対処法のリスク

侵入的思考が高頻度で出現する場合、以下のような誤った対処を行なっているかもしれません。

  • 侵入的思考を排除を追求する:特定の考えを避けることは、その考えを意識することです。他の考えや気を逸らそうとすることで、その思考を逆に意識してしまう悪循環が起こります。そして、特定の思考を抑制する行動(例:良いイメージや言葉で悪い思考を上書きしようとする、考えが思い浮かぶ状況を避ける)により、思考が良くないものだとより意識してしまうことになります。
  • 思考に伴う罪悪感や恥を異常だと考える :過去の負い目や、人には言えない恥ずかしい内容の思考だと、その考えが浮かぶたびに強い負担感が生じます。思考をもつ自分が許せない人もいます(例:人を殴るイメージが思い浮かんだら、殴りたいと願ったのと同じ)。思考と現実が混同されることもあります(例:人を殴るイメージを思い浮かべたら、実際に殴ってしまったような感覚になる)。思考を過度に良くないものと捉えることで、その発生頻度が高まります。
  • 侵入的思考の排除を優先した生活を送る:侵入的思考のトリガーとなる状況、場所を避ける生活を続けると、逆に侵入的思考が頻発します。侵入思考の抑制や回避は、それが危険である、有害であるということを脳に記憶させていくことになります。そうすることでの安心感が得られるのも事実ですが、侵入思考の抑制や回避の重要度は高まります。結果的に、抑制や回避ができない状況に対して不安が生じるようになります。こうなると、侵入思考に対する不安、侵入思考を回避、抑制できないことへの予期不安との二重苦になります。結果的に、強まった不安により侵入思考が誘発される悪循環が生じます。

まとめ

侵入的思考は、操作しようとするほど強くなるという性質を持っています。

侵入的思考を減らすためには、以下が重要です。

  • 思考を過剰評価せず、自然なものと受け入れる。
  • 即座に反応するのではなく、距離を取る練習を繰り返す。

このような方法を試していただければ、日常生活が少しでも楽になるかもしれません。
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