しっくり強迫:納得しないと次の行動に移れない

強迫症(強迫性障害)

「しっくり強迫」とは?

こんにちは、TCBTカウンセリングオフィスの新明一星(しんめいいっせい)です。今回は「しっくり強迫」について、その特徴や対処法をお話ししたいと思います。


こんな経験、ありませんか?

日常の動作ひとつひとつが「なんだかしっくりこない」。
そして、納得できるまでやり直してしまう。
たとえば:

  • 身体を動かすとき
  • 文字を読むとき
  • 部屋を出るとき
  • 携帯やパソコンを使うとき

こういった場面で「しっくり」こない感覚にとらわれてしまう人がいます。
その結果、生活に支障をきたし、膨大な時間を浪費してしまうのです。

このような状態を英語では 「Just Right Feeling」(ジャストライトフィーリング)と呼びます。
まさに「これで完璧!」という感覚を追い求めるあまり、日常生活が難しくなってしまうのです。


「しっくり強迫」の影響

しっくり脅迫にとらわれると、生活のさまざまな場面で問題が生じます。

  • 仕事や勉強、家事が完了しない
    最後までやり遂げることが困難になる。
  • 人付き合いが減る
    外出を避けたり、誘いを断ったりすることが増える。
  • 趣味や娯楽を楽しめなくなる
    「しっくりいくかな」と考えるうちに、やる気が失われる。

これらの影響はストレスとなり、さらに「しっくり感」への執着を強めてしまいます。


なぜ「しっくり強迫」は生じるのか?

多くの場合、「しっくり強迫」を抱える人は自己完結型のライフスタイルをとっています。
つまり、他人に頼らず、自分ひとりで全てをこなそうとする傾向があります。

背景には以下のような要因があることが多いです:

  • 周囲との距離感
    干渉されない環境や自由主義的な家族関係で育った。
  • 感情表現の乏しさ
    自分の気持ちを表に出す習慣がない。
  • 自己評価の基準が内向き
    他人の視点を得る機会が少なく、自己判断に依存している。

こうした状況では「自分が納得できるかどうか」が唯一の基準となり、しっくり感を追求する行動が強化されていきます。


対処法:新しい視点とサポートを取り入れる

しっくり強迫を克服するには、自分のマインドセットに気づき、少しずつ変えていく必要があります。
以下の方法を試してみましょう。

  1. 自己理解を深める
    自分の価値観や感情について考える。
    「なぜこれを重要視しているのか?」を内省する。
  2. 他人の力を借りる
    雑談や価値観の共有を通じて、自分を他人に伝える練習をする。
    他者との交流は、新しい視点を得る手助けになります。
  3. 新しい行動に挑戦する
    「うまくいかないかもしれない」という気持ちを乗り越え、少しずつ新しい経験を積む。
    他人と一緒に何かをすることで、しっくり感へのこだわりを和らげるきっかけをつくります。

最後に

「しっくり強迫」を克服するには時間がかかりますが、少しずつでも新しい行動を取り入れることで生活の質が向上します。

完璧を求める自分に優しく、必要なときには周囲のサポートを得ることを忘れずに。
あなたがあなたらしい人生を送れるよう、少しでも参考になれば幸いです。


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