病気不安症:病気の不安から抜け出すために

病気不安(健康不安)

みなさん、自分の体調が気になりすぎてしまうことはありませんか? ネットで調べると「もしかして重い病気?」と思ってしまい、それが頭から離れない、他のことが手につかなくて困っている…そのような悩みを抱える人もいるのではないでしょうか? そのような状態を「病気不安症」と呼びます。

この記事では、病気不安症の概要と、その導回方法について解説します。最後までお読みいただけると幸いです。

病気不安(心気症)とは?

病気不安症(心気症)は、病気に対する過剰な不安が原因で生活に支障をきたす状態です。この症状は、実際に病気がある場合だけでなく、病気の可能性を過剰に恐れる場合にも見られます。

症状の特徴

  1. 過剰な症状観察
    • 微細な体調の変化にも敏感になり、不安を増幅させる。
    • 自律神経の覚醒が不安を強め、症状を悪化させる。
  2. 繰り返される診療受診や情報収集
    • 様々な診療科を訪れるが、明確な診断が出ない。
    • インターネットや論文を過剰に検索してさらに不安が増す。
  3. 社会的な影響
    • 外出や人間関係を避ける。
    • 家族に過剰な協力(消毒や生活習慣の改善など)を求める。
  4. 心理的背景
    • 感情の抑圧や、感情を表現する習慣の欠如が多く見られる。
    • 扁桃体の覚醒により、ストレスが自律神経や免疫に影響を及ぼす。

改善のためのポイント

病気不安症は、病気の発症、悪化、進行を抑制することが逆に不安を増やし、不安により心身の不調をきたす状態です。このため、病気について考えない時間を意図的に作り、本来の自分らしい生活を取り戻していくことが重要です。そんなことをしたら、気づかないうちに病気が悪化するのではないか、今更自分は変われないと思う方が多いのも、病気不安症の特徴です。病気について考えない時間、症状の制御を行わない生活習慣が増えると、不安が減り、逆に体調が良くなっていきます。多くの方は、症状を意識するようになってから、体調が悪くなっているはずです。つまり、症状について考えること自体が、健康を損ねているのです。不安のループから抜け出すのは、とても難しいことですが、以下のようなことを意識すると良いでしょう。

  1. 過剰な症状制御を自覚する
    • 症状を完全にコントロールしようとする行動が、不安をさらに強めている可能性を理解しましょう。少しだけ自分の考え方や行動を疑ってみたり、客観的に見てみることが重要です。症状を意識しすぎると、感覚への感度が高まり、微細な変化にも敏感になっていきます。
  2. 情報のバランスを取る
    • 極端な情報に基づく結論を避ける:病気不安になると、劇的な改善例や悪化例に目がとまりやすくなります。過度なネット検索は、病気不安に悪影響です。不安が落ち着くまで、スマホ、PCに触れる時間を減らしましょう。多数の医療機関を受診し、専門家の見解や検査結果により、かえって混乱を経験する方も少なくありません。
  3. 感情を言語化する
    • 自分の感情を言葉にして、他者と共有することで脳内の感情調節が促される:病気不安に苛まれると、人と話すゆとりがなくなります。結果的に、病気に向き合う時間が増えます。もともと自己表現が少なく、対話するよりは自己完結的なライフスタイルを持っている方が少なくありません。この機会に、人と少しずつ関わり、自分の話をする習慣を持ちましょう。
  4. 人間関係を見直す
    • 孤立を避け、家族との適切な距離感を保つ:病気不安になると、健康な人と関わることが難しくなり、結果的に家族とだけ関わるようになる方が少なくありません。家族もある程度は、症状制御に付き合ってくれたり、話を聞いてくれたりするかもしれません。しかし、病気不安により、何度も症状について確認したり、医療機関の受診への付き添いを要求したりすると、家族も疲弊していきます。このストレスが、さらに病気不安を強めることになります。
  5. 生活のバランスを整える
    • 趣味やリラクゼーションを取り入れる:これができるようになると、だいぶ病気不安は軽減していきます。病気不安により、楽しむ気持ちが減り、横になっていたい、無理をしたくないと思う方が少なくありません。少しずつで良いので、病気について意識しない時間を長くしていくこと、楽しめなくてもやってみることが大切です。

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